tabeteneruのブログ

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クリスマス選『素晴らしき哉、人生!』

 

さあさあ、今年もこの季節がやってきた。

 

ハロウィンが終わったかと思えば、街中でいっせいに準備が始まり、おおよそイルミネーションに似つかわしくない親父っさん方が若いのに檄を飛ばしながら、あかあかと灯るであろう電飾を手際良く取り付けていく。

 

 

年々、その時季は早まっているのではないだろうか。いやいや、私の年を経る体感速度が上がっているだけかなどと世の中で一億回くらいは湧き出る疑問を今年も抱えながら、灯る電飾と自撮り棒の触手から伸びた携帯のフラッシュに囲まれ、ぽつんとする。

 

煌びやかな灯りに活気づく人の反対で、こんなに街は華やいでいるのに、どうして私の人生はこうも暗いのだろうかと否が応でも目に入ってくるイルミネーションを駆け足で引き延ばして過ぎる人もいるかもしれない。

 

明かりは影をくっきりと輪郭付けてはっきりとした形にし、真っ暗な影に象られ、光のまぶしさに動くことすらできない。光を畏れた自分は影の中が案外居心地が良いことに気付く。そうして光の中から呼ぶ友の声が聞こえなくなる。

 

端からみて、幸福そうな人がいる。

友人や恋人にも囲まれて、熱心に取り組める仕事もあり何不自由なく暮らしている。しかし彼は孤独だという。

 

人は忘れる生き物だ。

良いことも悪いことも当たり前な事ほど忘れてしまう。親や先生のお節介などその際たる例だろう。親元を離れてしまえば、いかに手をかけてくれていたかに気付くこともあるだろう。

積み重ねられた当たり前に気付くことは難しい。

 

だが、これは当たり前なようで忘れがちな大切なことだが、誰しもひとりで生きてきた人はおらず、またどんな人であれあなたを思う人がいないなどということはない。

 

明かりが温かさに例えられることがある。

ことさら冷えるこの時期に白髭のおっさんが来てくれたり、電飾で街を温めるのは先人の知恵かもしれない。

 

そんなわけで冬にふるえる方々にお勧めしたい名匠フランク・キャプラ監督の『素晴らしき哉、人生!』(1946)。

素晴らしき哉、人生! - 作品 - Yahoo!映画

 

1946年の作品で、言ってしまえばとても古い作品でもちろん映像は白黒なのだがこの時期になると思い出したように観る。

物語について詳しくは触れないが名作だ!などという角張った推し方はしたくない。が名作だ。

 

大切なひとやこれから大切にしたいひと、はたまた、少し影に落ち込んでいる自分がいたり、街明かりがまぶしく感じるようなら、観てみてはいかがだろうか。

 

 

(画像元:https://iwiz-movies.c.yimg.jp/c/movies/pict/c/p/3d/31/12106view002.jpg

 

 

最後までお読みいただきありがとうございました。