ゾンビが留まることを知らない
留まることを知らない~♪
時間の中で~♪
いくつものぉ~♪移りゆく街並みを眺めていた~♪
果~てしない闇の向こうに~♪ oh~oh~♪
Mr.Children『Tommorrow never knows』
今更取り立てて言うまでもなく、良い歌だ。
桜井さんがこの歌を書いた歳を私はもう超えてしまったが、こんな素晴らしい詩が書ける兆しは未だ見えない。天啓を待ち諦めず、しぶとく生きていきたい。冗談です。
音楽とは不思議なもので、聴いていた当時の思い出と密接に結びついて頭の中に残っていたりする。青春時代に聴いた曲はいつまでも特別な存在だ。
あなたにも、この曲を聴くと思い出す友人や恋人、または家族の姿があるかもしれない。
優れた作品とはある一つの事柄を述べているようでありながら普遍的な意味を持ち、思い思いのとらえ方が出来るものだ。
この曲に対して、各人がそうした美しい思い出を持っている可能性を考慮しても、なお喉元まで出掛かっている言葉がある。あらん限りの勇気をもって提案したい。
この曲、ゾンビを歌ってると思いませんか?
終末な感じとか。歌詞の主人公がもがいている感じとか。よければ、一度ゾンビに席巻された世界に思いを馳せつつ聴いてみて欲しい。泣ける。全く強制はしません。
さて、そんなわけで今回のテーマはゾンビ映画だ。
無性にゾンビ映画が観たくなって、何本か、漁るように観た。ひたすらAmazonビデオ、dtvの検索欄に「ゾンビ」「デッド」と打ち込んで漁るように観た。あなたにはこちらもおすすめ!欄もチェックし面白そうなものは片っ端からウォッチリストに追加した。
時間がなくまだ観れていないものも多くあるが、 今回はそんな何でもありな何にでも合うゾンビをテーマにした映画を3本ご紹介したい。
ゾンビとは生ける屍であり、不死身であり、
好意的に捉えるとむちゃくちゃ無邪気な存在だ。
紹介作品の中から、そんなゾンビの魅力を感じていただけたら幸いだ。
No.1 『ゾンビスクール』
小学校が舞台のゾンビコメディだ。
主人公の臨時教師クリント(イライジャ・ウッド)が赴任した学校に突如、ゾンビが発生する。くせ者揃いの教師たちとゾンビの必死の逃走劇が繰り広げられる。
注目すべきは、ゾンビになっているのは子ども達だということ。
一癖も二癖もある大人たち(教師)が容赦のない子どもゾンビ達の襲撃に慌てふためく様子はそれだけで可笑しい。その教師がとぼけたことばかり言うからまた可笑しい。
子どもたちにこんな残酷描写ありなのか?ありなのかこれ?!という問題は置いといて、笑える映画である。
イライジャ・ウッド演じるクリントは教師たちの中ではかなり普通に見える。『ロードオブザリング』の彼は影もなく、生真面目な雰囲気がこうしたB級映画にハマっている感じさえあり、近作においても定着してきた気がして笑っていいのか分からない。
ただ、可笑しさに反して子どもゾンビが襲うシーンは結構残虐なので過激な描写が苦手な人は注意して欲しい。
何も考えず笑える映画なので気軽にどうぞ。
(画像元:ナゲット食べたらゾンビになっちゃった!?映画『ゾンビスクール!』の大人気即ギレ体育教師が撮影秘話を喋りまくり!【動画】 - AOLニュース
)
No.2 『ゾンビガール』
スクールときて、次はガール。
彼女がゾンビになっちゃう話。ホラーコメディだ。
簡単にあらすじを紹介する。
ホラーマニアのマックス(アントン・イェルチン)はエヴリンと付き合っている。
彼女は美しく、自立した魅力的な女性だ。ただ、彼女はマックスの趣味を理解できず、またとことん環境志向な性格でそりが合わなくなっていた。
マックスはそんな関係を終わらせようと彼女を呼び出した矢先、彼女は不慮の事故に遭って亡くなってしまう。マックスは自分を責め悲しみにくれる日々を送るが、ある日同じ趣味を持った女性オリヴィア(アレクサンドラ・ダダリオ)と偶然再会し意気投合する。価値観の合うオリヴィアに希望を見出し始めた時、そこに現れたのはすっかり朽ち果てた(元)彼女だった......という話。
考えてみて欲しい、自分の彼女がゾンビとして目の前に現れ(ゾンビであること以外は)何も変わらず彼女として接してくることを。
()の部分が大きすぎて、変わらないという言葉が何の役割も果たしていないレベルでもはやどうしていいのか分からない。
こうした事態が発生した時の対処法をこの映画は教えてくれるかもしれない。
(教えてくれないかもしれない)
この映画は優しいホラーだ。
自我を持った(元)彼女を無下に扱うことは出来ない。理由もなく生きているものを処するなんて人の行いじゃないだろう。しかし、朽ち果て、屍同然となった者に常人と同じように接するのか。
そして元カノ、今カノ問題。
どちらかを選ぶということはどちらかを選ばないということだ。決断をじわじわと迫られるその様はまさにゾンビのそれだ。
マックスを演じるアントン・イェルチンは新『スタートレック』シリーズにも出演している。すこし間の抜けた笑わせる演技も泣かせる演技も出来る役者だ。この映画でも彼のとぼけた雰囲気がよく出ている。
ただなにより、なによりも推したいのはオリヴィアを演じるアレクサンドラ・ダダリオが可愛いということだ。ややミステリアスな雰囲気の彼女は、笑うとすっごくチャーミングでそのギャップにやられる。たまらない。彼女を観てるだけで1時間半あっという間に過ぎる。
(画像元:https://kaigai-drama-board.com/posts/5776?p=9)
No.3 『ウォーム・ボディーズ -WARM BODIES-』
直訳すると温かい身体。動詞的には身体を温める。物語になぞらえて解釈を広げると、warmは熱心になることや好意を寄せるといった意味合いもあるのでそういったニュアンスも含んでいるのかもしれない。
ゾンビの血の通わない冷えた身体と同時に(誰かに)熱くなる様子。
この物語、ゾンビが人間に恋する話である。
つまり、ゾンビのラブストーリーである。
乗り越える壁が大きいほど恋は燃え上がるものだ。
問題は乗り越えられるかどうかだが......。
舞台はゾンビがその大半を占める終末世界。
主人公ゾンビR(ニコラス・ホルト)はゾンビ仲間たちと街へ繰り出す。かたや人類、物資調達の為に若者数名が街へ繰り出す。そこでヒロイン、ジュリー(テリーサ・パーマー)と運命の出会いを果たす。
ここからゾンビ的アプローチで距離を縮めていくわけだが、ヴ~とうめくことしかままならない主人公の恋は果たして実るのだろうか。
ぶっ飛んだテーマに反して、丁寧に描かれているので期待して観て欲しい。
監督を務めたジョナサン・レヴィンはこの作品の前に、ガン宣告を受けた青年の物語『50/50』を撮っている。(ここで紹介した おすすめ映画 9月のまとめ~(2017) - tabeteneruのブログ)
音楽を印象的に用いての雰囲気の出し方や女性の撮り方が抜群にうまい。テリーサ・パーマー自体が魅力的なのは勿論なんだが、魅力の芯をとらえるのが上手でモテそうな監督だ。モテそうな監督が嫌いじゃなければ、観て欲しい。
少なくとも、自身がゾンビになってしまったとしても良きパートナーと出会える未来が待っているかもしれない。
以上、3作品を紹介した。
今後もしばらくは血肉を漁るようにゾンビ映画を観るだろう。
優れた作品は他にもあるだろう。彷徨い、また次のいい作品に巡り合えることを楽しみにしたい。
最後までお読みいただきありがとうございました。